くわうほう

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おもしろい本とであふと、うれしくなる。興味分野のものだと、夢中でよめる。一氣によめる、といひたいところだが、やはり、よむのはおそい。

宴の身体―バサラから世阿弥へ (岩波現代文庫) 著:松岡心平(岩波現代文庫
元々は、會所についてしらべるために一部よみはじめたのだが、大變氣にいつたので、全部よんだ。
ぼくが必要だつた部分は、導入部分であらう。そこには、下層階級の、あやしげな世界がえがかれてゐる。
前提として論じて、本題である、能、世阿彌の方へひつぱつていく。
ぼくは、能については何も知らない。そんな素人をして能への興味をいだかせしむる松岡の筆力には、すばらしいものがある。
まあ、元々ぼくの興味分野とからめての文章だつたから、かもしれんが。おすすめ。

小説もよんだ。
冬の巨人 (徳間デュアル文庫) 著:古橋秀之徳間デュアル文庫
世界觀がすきだ。
巨人のうへにあるふたつの街は、巨人からの熱源を基に生活してゐる。
その巨人はおいてゐるかのやうに、背筋を直角にまげ、七日で一歩づつ*1、廣大な雪原をあるいていく……。

ああ、素敵だ……。作者の古橋の作品は、いくつか名を聞いたことがあるが、ひとつもよんだことがなかつた。この作品は、某所での評価がよかつたので買つたものだが、ほかの作品も、こんな感じなのだらうか。

よみすすめていく。
主人公の異常性が氣になつてくる。
主人公の……が氣になつてくる。
主人公の……が氣になつてくる。
主人公が氣にくはない。
主人公の師匠であるディエーニン繁授は、よい。
ほかの登場人物の行動も氣にくはない。

結末をよむ。
……、ううむ。ううん。これは、感動する、かな。
するひともゐるやうだが、ぼくは、しなかつた。
投げてないかなあ。

世界設定は好きなのに、本當好きなのに、肝腎のはなしがアレな感じ、といふのが感想。
主人公のせゐだ。

*1:七日で一歩、といふことで、この世界には、「週」のかはりに、「歩」が通用する。