くわうほう

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AURA 〜魔竜院光牙最後の戦い〜(平成二十五年)

田中ロミオ同名小説原作の映畫化(岸誠二監督)。同じく田中ロミオ原作のTVアニメ、『人類は衰退しました』のスタッフが制作したといふこと。
ロミオのゲームはやつたことないけど、小説はすごく好きです。
それで、「人退」のアニメが面白かつたので『AURA』も期待して見に行きました。
感想、ちょっと……。これあんまり面白くないやね。
この物語の要は、思春期の痛々しさの描寫といふところにあると思ひます。
大人なら誰しもある振り返りたくないやうな思ひ出の數々、あるいは思春期眞つ只中なら今まさに犯してゐる失敗、挫折……、
原作小説は一人稱で、それらを克明に、でも輕妙に地の文で描寫してゐました。
この映畫には、ほぼモノローグがありません。なので、原作の地の文の良さが傳はつてきません。それはさういふ意圖した演出でせうから、ありだと思ひます。
では、映像としての描寫はどうか?
原作では、ドリームソルジャー、今話題のクラスカースト、また、虐めといふのが重要な要素でしたけれども、これも映畫版では通り一遍の説明的なものでしかなかつたやうに見受けられました。折角原作の物語切つて短くまとめたのだから(上映時間は八十二分とのこと)、力を入れるべきところは力を入れるべきだつたんぢやないかなあ。
原作ファンを廣げるための映畫といふ感じがしなかつたし、ところどころの作畫の乱れが興醒めでしたが、ヒロインの良子ちゃんの畫は可愛かつたで良かつたです。