くわうほう

使ひます

言の葉の庭(平成二十五年)

新海誠監督の最新作。上映時間四十六分の中篇作品。

物語は、この予告篇通りの内容。たつたの四十六分だし、単純な、他愛のないラブストーリーと言つたところ。
でも、だからいいんだ。だからこそ、映像の美しさに集中でき、堪能できた。
二人の逢瀬は、梅雨の間、雨。しかしこれは、ただの雨ではない。新海監督一流の演出を施された、特別な、濃密な雨だ。
雨、新宿御苑の森、庭園の中。二人だけの空間、
ほかに誰にも邪魔されないための魔法がかかつてゐるやうに見えた。さういふ雨だ。
そして、女の脚! 脚線美はもちろんだが、それだけでなく、足自體にも濃厚なフェティシズムを感じた。
新海作品でこれほどの性慾を覺えていいんだらうか、といふほど。
映像美と足フェチのためにも、スクリーンで見て正解だつた。
四十六分、全然短くない。作畫の良さをたつぷりと樂しめるいい作品だつた。
ただ、最後、クライマックスで秦基博の、物語の内容に沿つた曲が流れてきたところが、
秒速五センチメートルでの山崎まさよしのやうな、これまでの映像をPV にしてしまふ演出に見えて殘念だつた。

ちなみに野村不動産のCM の方はちよつと説教臭いし面白くなかつた。

風立ちぬ』の豫告篇も見たけど……。本篇見る氣を失せさせるねこれ。まあ、多分スクリーンで見ると思ふけど。