平成三十年に讀んだベスト本

やべーぞ！　買つてるだけ買つてどんどん積んでる！　漫畫も積んでる！
さう！　例年通りですね！
去年はこれ

• 平成二十九年に讀んだベスト本 - くわうほう

あと漫畫雜誌を本格的に電子書籍で買ひはじめた。『週刊少年チャンピオン』はドカベンだけデジタル化しない方針なのか電子書籍には掲載されないので、その完結までは紙で、その後はKindle で購入することにした。でも末期ドカベンは割とつまらなかつたので考慮しなくてもどうでもいい存在ではあつた。と思つたらバチバチが……。結局バチバチ（未）完結まで……うｎ……。
あと『週刊少年サンデー』も毎週電子書籍で購入してゐます。

平成三十年讀書状況

平成二十九年讀書状況

Booklog によれば、去年の漫畫以外の本の讀書數は21 冊、漫畫の讀書數は299 冊となつてゐる。しかしよくその内容を見ると、『柳生兵庫助 剣の真奥』と『藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道』の内實は漫畫なので實際の「漫畫以外の本の讀書數」は19 冊といふことになるだらう。これやひどい！　一昨年は（内容が漫畫のものを差引いて）39 冊は讀んでゐたのに……。半分以下……。
しかし一方漫畫の數で見れば一昨年148 冊だつたのが去年は299 冊に。二倍以上にも！
とにかく漫畫はよく讀む樣になつた。讀まないと積む一方だから必死なのだ。買ふ數を抑へることに考へないといけないのかもしれないが本屋で買ふことでストレスを解消してゐるので今のところあり得ない選擇、だと思ふ。

平成二十八年讀書状況

ついでにさらに前年の。もしかしたら一昨年が俺にしては頑張つて讀んでただけかもしれんね。
漫畫以外では。
周縁で生きるひとの傳記は大概、大變に面白い。山崎方代は一般社會にとつては表題通り無用のひとであつたが、無産であつた故に實に、羨ましいとさへ思へるやうな野放圖で氣儘な暮しを送ることができたのだらう。その暮しぶりと捻りだす歌の連關ぶりはとても興味深い。しかし氣儘であるが筋がないわけではなく、そんな方代の魅力に惚込む著者の懸命な取材振りも胸に迫る一冊だつた。

無用の達人 山崎方代 (角川ソフィア文庫)

方代は無産ではあつたが、歌人としての立場生き方を貫いてをり、生涯通して社會と繋がりがなかつたわけではなかつた。次の小川定明も變り者だが臺灣出兵からの從軍經驗も長く辣腕の新聞記者であつたのに、壮年を過ぎたところで全くの無責任にもキャリア一切を捨てさらに糟糠の妻子さへも捨てて逃亡してしまつた。その後の人生は是非本書で追つていつてほしいが、全く無責任で奇怪な人生であるとしか言ひ樣がないが、だからこそその隱遁ぶりは抗ひがたく否定しがたい。そんな資料に殘りづらい生涯を脚を使つて辿つていく取材姿勢も好ましい。

奇人・小川定明の生涯 (朝日文庫)

夫婦二人三脚と言へば聞こえはいいがスパルタすぎて實際はどうだつたんだらう。凄まじい苦勞と戰ふ熱量に讀んでて引き氣味になるこれも良かつた。

沢田マンション物語 2人で作った夢の城 (講談社+α文庫)

あと勞作だつたのは『二軍史』。公式に記録の殘つてゐないものをひとつひとつ叮嚀にデータを掘出していく手間を考へるとぞっとする。著者の執念が素晴らしい。プロ野球の二軍といふものが現在のかたちになるまでの紆餘曲折が個々の名選手無名選手樣々なエピソードを交へて詳らかに記述されていく。それはプロ野球の選手育成輕重變遷の記録とも言へるかもしれない。もしかして普通の一流選手つて最初から一流なのではなく自分で勝手に一流になるもんぢやないんぢやね！？といふ發見の歴史といふか……。

二軍史 もう一つのプロ野球 (野球雲叢書)

『ものするひと』は純文學作家である主人公が警備業の傍ら氣負ひなくポメラ使つて生活の一部に溶込む樣に書いていく樣を描寫していく。警備の仕事の間中もなにか常に觀察したり考へたりしてゐるのがすごく面白かつた。あと作中貫くポップな言葉遊びの數々もそのセンスがなんかいいよねいい…と。それだけに二巻の最後はすこしいやかなり衝撃。

ものするひと 1 (ビームコミックス)

男子校の中學生は性慾の權化みたいに思はれがちだがこれはいくらなんでも……。と思ふ。寮生活だと違ふのかなあ。でもディテールがうますぎてさういふものかもしれないと納得させられてしまふそんな迫るものを見た。そんな獸のごとき男子校中學生のなかに咲いたたつた一輪の花がサバイブしていくのだがあまりにも無防備都市宣言すぎてもうだめかもしれんね。あとチャンピオン時代と比べて女の子が格段にうまくなつてゐる！　さういやチャンピオンのいまのところの最終掲載作の『冥界だより』もすげー上達してんな……とビビつたつけ。

私立浜茄子中高等学校男子寮の戸惑い(1) (電撃コミックスNEXT)

あとは百合。とぼけた味はひが魅力の『私の拳をうけとめて！』とか社会人百合の代表的佳作『2DK、Gペン、目覚まし時計』とか青春の痛ましさを描いた『ララバイ・フォー・ガール』とか廃墟といふテーマにすこしラフな鉛筆畫の樣な背景描冩が染みる『グッバイ・ディストピア』とか唯一買つてゐるジャンプ作の『アクタージュ』とか読耽つた百合。

私の拳をうけとめて! (1) (角川コミックス・エース)

2DK、Gペン、目覚まし時計。(8)初回限定版 (百合姫コミックス)

ララバイ・フォー・ガール (フィールコミックス)

グッバイ・ディストピア1 (百合姫コミックス)

アクタージュ act-age 2 (ジャンプコミックス)

一押しは『夜と海』かなあ。行動だけ見れば高校生特有の自分勝手なところも目に餘るんだけどしかしなにか自分でもよくわからないものに衝動かされてしまふ樣が胸を突くところがありました。あと月竝な表現で申し訣ないが繊細で大膽な抒情描冩がいいよねいい…。

夜と海 1 (芳文社コミックス)

あと『月のテネメント』は個人的に超衝撃作で、方向性はすこし違ふかもしれないが『明日ちゃんのセーラー服』に竝立つかもしれない。

月のテネメント (4コマKINGSぱれっとコミックス)

百合ではないがフェティズムといふ點では『日々是平坦』。バカな高校生の學校生活を描いた「日々是平坦」と舞台を同じくする問題作「純粋男女交際」とを同時収録することによつて題名通り純粋ながらインモラル度を高めてゐて趣深い一作となつてゐます。

日々是平坦 2

しかしながら前年一番は言語を絶する薩摩武士の生涯を活冩した『薩南示現流』に決まつてますね、絶對！

薩南示現流 (SPコミックス SPポケットワイド)