くわうほう

使ひます

いかにして「いい」音樂を見つけるか

その手順とは、どういふものだらうか。この場合の「いい」とは、だれにでも「いい」ものであるわけではなくて、自分に合つた、好きな音樂のこととする。ごく個人的なもの。といふわけでここに、ごく個人的な、私のやりかたを書かうと思ふが、しかし、やつてゐることは、普遍的な、ごく當たり前の方法ではないだらうか。

いくつかのやり方があるだらうが、それらを組合せて利用してもいいと思ふが、まとめるとつまり、氣に入つた音樂からいかに廣げていけるか、だらうと思ふ。音樂に限らないことだと思ふ。

さて、誰にでも氣に入った音樂が、あるといふことを前提にしていいだらうか。なんとなくあの曲氣になるな、程度でもいい。ではないとこの記事は讀まなくていい。そして、その曲の樣々なカテゴリ付けを利用していかう。どの國(どの地域(どの都市))の曲か。どの時代の曲か。どのレーベルか。どのジャンルの曲か。演奏者は誰か。作詞者は、作曲者は誰か。それぞれのカテゴリは、一見ばらばらのやうであつても、密接に結びついてゐることが多い。あるジャンルといふのは、バラバラな時代でバラバラの地域でバラバラに(無關係係に)發生することは、あまり無い。「カンタベリー・ロック」といふジャンルがあつたとすると、西暦1960年以降(昭和四十年以降?)に、イングランドはケントのカンタベリーを中心に起つたプログレッシブロックの一分野、といふ具合にだ。録音技術が發達し、情報技術が發達した現代においても、結局はムーブメントといふのは人が起すものだから、人が集まつて起すものだから、音樂と言ふのはさう言つた人がつくるものだから、もしくは後代に、同時竝行に、アーティストとは與り知らぬところで便利な樣に纏まつたやうにみえる何らかのムーブメントがジャンル付けされるのだから、もし、ロバート・フリップがいくらプログレッシブロックなんか知りませんよ面してゐても、音樂探索にはさういふ便利なもの(樣々カテゴリ、就中ジャンル)があるのだからそれを利用しない手はないしぼくはプログレを知らない。

それはどこの國の曲だらうか。

Sigur Rós のGlósóli をたまたま本屋のBGM で聽いたあなたは瞬間雷に打たれ、勇氣を出して店員に曲名とアーティスト名を聞き出し、早速アルバムを買ひ、氣に入り、他のSigur Rós のアルバムもみんな集め、無性に音樂に興味を持つてしまつた。Sigur Rós 以外にも色々聽きたい! でも全然こんな變な曲他には全く知らないぞ。Sigur Rós の出身國はアイスランドだ。なら、アイスランドの音樂を漁ればいいのだ。Google で「アイスランド 音楽」檢索してみると、「ICELANDia」といふサイトが當たつた。そこで知つた色々な音樂家の名前で片っ端からGoogle動畫檢索をするのだ。


Pornopop - Little Kafka

Mugison - Murr Murr

Sketches for Albinos - Sorbonne: Midnight (Chihei Hatakeyama)
その國の曲は、その國の曲であるといふだけで、他國の人間からみればなんとなくかもしれないが、ああ、似てゐるな、といふ雰圍氣がある。その中で氣に入つた曲気に入らない曲があるかもしれないが、とにかく色々聽いて「感じ」を摑んでみよう。そこから、潜つてみるのも良し、手廣く行くのも良し。

レーベルを知らう。
Sigur Rós はどこのレーベルからCD を出してゐるか。といふところからやつて行つてもいいのだけどその場合、メジャーレーベルではあまり意味が無いのだ。Sigur Rós の四枚目のアルバムである「Takk...」はEmi とGeffen のメジャーレーベルから出てゐるが、メジャーなだけあつて樣々なジャンルの音樂を内包してゐるから、どこから取りついたらいいか分らない。大きなレーベルにはその中にジャンルなど性格ごとに樣々レーベルが設立されてゐるがそれよりも、インディーズレーベルを掘つた方が樂しいと思ふ。個性的な、メジャーから外れた音樂家が集まつてゐるからだ。インディーズレーベルにも大きいところ小さいところあるけれど、規模が小さければ小さいほど、仲間内でやつてゐる風が強まるから、まとまりを感じるだらう。アイスランド音樂を深く知らうと考へたら、やみくもに探すのもそれは樂しいけれど、「Kimi Records」や「12 Tónar」、「Kitchen Motors」、「Smekkleysa」などの名前を意識すれば、もつと樂に、樂しくなる筈だ。事情通面もできるしね。

SINGAPORE SLING - Godman

Petur Ben - I'll be here
なんか、かう、うn

Benni Hemm Hemm - Retaliate

Prins Póló - Hakk og Spaghetti

さて、アイスランドと言へば北欧諸國のなかの一國である。といふわけで、「北欧の曲」といふ括りで興味を廣げていつたらどうだらうか。つまり、アイスランドスウェーデンデンマークノルウェーフィンランド、オーランド諸島、グリーンランドフェロー諸島といふ五カ國三地域を見ていくことになる。Sigur Rós つぽい北欧の曲を見て行くと、あるキーワードが付いていることに氣付くだらう。「オーガニック」「幽玄な」「エレクトロニカ」「ポストクラシカル」「アンビエント」「シューゲイザー」「ノイジー」「ドローン」「リバーブ」「」「」「」……好きな音樂はレビューにおいて、大體決まつた言葉で形容されるのだ。さういふ單語に敏感にならう。そして、逆に他の地域のそれつぽい曲を「これなんか北欧ぽいね」とか「アイスランドか何か?」とか言ふと通ぶれるね。
http://vimeo.com/12196139
Asphalt

Ville Leinonen - Pieni ja lämpöinen
北欧の音樂なら以下のサイトがお薦め。

  • GrinningTroll | - 『このページではノルウェーを中心としたご紹介北欧のジャズとその周辺の音楽をご紹介します.』といふやうに、ノルウェーでジャズ多めだけど、管理人の方は色々なジャンルに造詣が深いので漁つてみよう。

本ならまだ未購入だけど以下のものがある。

ディスクガイドといふのも重要な手段であることは間違ひない。地域ごとの切り口以外に、最近は「アンビエント」や「シューゲイザー」「DIY」といふやうなジャンルでもその世界を覗くことができるのだ。ジャンルを見るときに、ウェブサイトを見て行くのもいいが、出版物で見て行く方が知らない音樂に出會ふ確率は高まると思ふ。

とは言へ、ウェブの方が最新の情報が拾ひやすいし、便利な面は否めない。更新が早いといふ點で要チェックなのはやはり、ネットショップやレーベル公式サイトだと思ふ。

Spangle call Lilli line / dreamer
ぼくがいつも見てゐるのは、

あと

レーベルだと

くらゐか。

しかしやはり、一番いいのは、自分のお氣に入りのウェブサイト以外に、お氣に入りのお店を見つけることだと思ふ。東京ならDISK UNION や雨と休日などが有名だと思ふが地方在住のぼくは未訪問である。

いつか行きたい。
名古屋ならこのあたり。

トゥラリカ - ネオンの帳

ジョンのサン

まだ行つたことない店だと

變り種だと、本屋や雜貨屋は、聞いたこともないやうな音樂家を率先して扱ふので氣が抜けない。

  • bookshop and gallery ON READING - リトルプレスも扱ふ本屋であり雜貨屋でもありCD コーナーもある。CD しか買はなかつた。

色々と見て回ることが重要だと思ふ。レコード屋に行き、レビューを讀んで、試聽もせずピンと來たものを買ふのは樂しいことだ。別に音樂聽くのにその地域、ジャンルだけに凝固まる必要はない。見聞を廣めるのに正しい方法などない。色々カテゴリを組合せて、見て聽いて廻つて……、それで、やつぱり北欧の音樂だね、エレクトロニカだね、となるならそれでもいいと思ふけど。狹く深く掘進める分野を核にしつつ、廣く淺く追驅ける分野がいくつもあつた方が面白いし部屋がCD で埋まつて困るね。