くわうほう

使ひます

平成二十四年十二月十五日

特異なフランス人ジャズピアニスト、ミシェル・ペトルチアーニの、全力で突つ走つた生涯に迫るドキュメンタリー。ぼくはジャズのことはほぼ無知で、ペトルチアーニのことも名前も知らずに見た。もちろん、生れついての障碍のことも、すでに故人であることも。
その愛すべきキャラクターや鮮烈な生き樣、そして生涯通じて伴に音樂があつたことを、多くの共演ミュージシャンや三人の愛した女、同じ障碍を持つ息子、關係者の證言と映像で振り返る、といふもの。

ただ、そのインタビュー素材が少し多すぎて、ぶつ切りつぽいところがあつたのが興に削がれたかな。數奇な生涯を見せるドキュメンタリーとしては正解なのかもしれないけど、ペトルチアーニのすごさを、もつと音樂の部分で見たかつた。ペトルチアーニのことを語るミュージシャンたち(おそらく一流ばかり)をぼくが知らないことに多大に問題があつた、といふ點で初心者向けではなかつたと思ふ。
ミックスが良かつたし、音樂自體は最高だつたし、ペトルチアーニのCD 買つて堪能する。あと、ペトルチアーニ本人を映す部分は、いい具合の畫質の煤け方で、すごく惹かれた。