くわうほう

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サカサマのパテマ

吉浦康裕監督の『サカサマのパテマ』を見た。

特殊な設定のボーイミーツガール。
ボーイミーツガールといふのは主人公同士の文化などの差異が物語を生むのだと思ふ。
ボーイミーツガールは偶然男女が出會ひ、コミュニケーションをし、そのお互の文化などの立場の差からすれ違ひ、最後にその關係がひとつの結末を迎へるといふ構成になつてゐる。
この物語では、その男女の差異といふのはそもそもの世界の設定から來るものだが、設定が肉體的接觸を自然に演出してゐるのはうまいと思ひますね!
二人が抱合つてゐたり手を繋いだりするときが一番安心できるといふ。さもなくば空へ落ちるといふ死への恐怖がある。
洋畫やエロ漫畫でもないのに男女が氣輕に抱合つちやふ話は文化がちがーふ!って感じる。フィクションなら許される風潮なのかな?

『サカサマのパテマ』は出會ひのシーンをもつと印象的にしてもよかつたと思ふ。
あと、男主人公の偏見があまりない設定だつたけどさういふ偏見が正されていくところもボーイミーツガールの醍醐味だと思ふから、折角魅力的な設定なのだしこの設定を生かすためにも見たかつたなあ。男主人公と同じ世界に住む物語上の敵がさういふ偏見の塊で、その敵の徹底的な教育によつて子供たちは空への恐怖、空へ落ちることの恐怖を植えつけられてゐたわけだが、實際に空へと落ちる女の子との出會ひによつてその空への感じ方が變るお話にした方が、ダイナミックになったんぢゃないか、と思つた。それで前述の自然な肉體の接觸が、彼我が同じ人間であることを氣付かせる、世界の秘密に向合せる仕掛けになるみたいな……。前日譚みたいなtoi8 の漫畫版にもさういふところはなくつて、ゆるゆるだつたんだけど、toi8 だから良し!