くわうほう

使ひます

平成二十九年に讀んだベスト本

俺つてもしかして買物依存症なのか?
つて去年も同じこと書いてるから俺は去年から成長してゐないといふことになるいや惡化してゐる
去年の

しかし、去年あれだけ積んでしまつたのは理由があつてそれが解消されればすこしは状況が良くなると思ふんだけど思ふ
さて以下今年の。
單行本だけ讀んだひとも是非、文庫で讀み直してみてほしい。ものを生むことの樂しみ、苦しみがこの一冊には詰まつてゐる。

ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)

ボン書店の幻―モダニズム出版社の光と影 (ちくま文庫)

今尾恵介先生の博覽強記さで一味ちがつた地名の謎がわかる! といふか俺にとつては愛知県に今でも小地名が多く殘つてゐる理由が分りやすくわかつてそれだけでもいい一冊だつた。といふか他の地域のこと知らなかつたからそんなこと氣にしたこともなかつた。小字小地名が整理されなくなつていくパターンは地元も免れてゐないが俺も數字は覺えられない方だから復活しないもんかなあと思ふんだけど……。
番地の謎 (光文社知恵の森文庫)

番地の謎 (光文社知恵の森文庫)

これほど世間の、享受者個々のイメージと實際のギャップのあるものも珍しいかもしれないことを詳らかに明らかにしてくれる一冊。この賞の度量の大きさはすごい。祥伝社黄金文庫版『ビッグコミック創刊物語』を讀んでゐたら小西編輯長が楳図かずおの短篇作品を何度か、直木賞の候補として社内推薦したことがあると書いてあり(p.91)、

直木賞というのは文学賞ではなくて作品賞だと思っているから、優れた作品であれば漫画が受賞してもおかしくないだろ

いやをかしいだろ!つて思ふんだけど、それでももしかしたら本當に、本候補にあがつたり受かつてしまふこともあるのではないかと錯覺してしまふほどの得體の知れなさがこの賞にはあるらしい。時代の流れに附かず離れず寄り添ひつつも全く獨自の道を歩む直木賞は確かに、解明かしたくなる魅力にあふれてゐる。どなたにでも、特に本屋の文藝棚擔當者は是非讀んでほしい。そんな去年一番面白く讀んだ本だつた。同じ作者が苦しみ書いた『芥川賞物語』も同時にどうぞ。

直木賞物語 (文春文庫)

直木賞物語 (文春文庫)

芥川賞物語 (文春文庫)

芥川賞物語 (文春文庫)

去年は明らかに百合強化年間だつた自分の中ですごく百合がキテた年だつた
アニメ化の甲斐あつて『ゆるキャンΔ』についての話題が掲示板でも賑つてゐて嬉しいけどでもね、さういふえっちな目だけで見るのは良くないと思ふんですよ俺は。といふか『ゆるキャンΔ』はさういふ作品ぢやないと思ふ。
ゆるキャンΔ』のベースにあるのがなにかといふのは人それぞれ思ふところがあるだらうが俺はやはりこれはアウトドアのことを描いたものだから自然と人間の關係の描寫の妙味を味はへるところがいいと思ふ。普段ではない日常ではない特別なところで行はれる週末だけ、そしてオフシーズンだからこそ煩はしさなく自然と自然と付き合へるところがあるのではないだらうか。さういふ特別な場では特別な格別な自然描寫が必要であり、あfろ先生の漫畫へ落込む表現力がまたすごい。さういふ特別な場ではまた少女たちの特別な關係が生まれるのでありソロキャンにはソロキャンのグルキャンにはグルキャンの良さ、それぞれの否定ではなくそれぞれの良さがうまく表れてゐてまた良い。特別な關係つていやらしいよね。
人間關係だけでなく自然描寫にも目を向けてほしいのです。百合として讀むところから入つてもいいから! いいから! なでリンキテル…してもいいから!そんで『スロウスタート』といふ作品はアニメ化発表されてから讀み始めたんですけどこれも百合といへば百合らしく讀むことができるかもしれない。挫折からの再出發といふのはすごくエネルギーが必要とする。この作品には失敗してしまつたひとが複數登場するんだけど傍から見るとたつたこんなことで躓いて、こんなことで今も苦しんでるの、と疑問に思はれるかもしれないがそれはやはり惱む本人たちにとつてはとてもとても大きなハードルであつて乗越えようとする前にそのハードルからは目を背けたくなる山脈のやうに聳立つものでそれでも再び踏み出さうとするその一歩一歩を應援したくなる。そんなひたむきな姿に心打たれる。
えーかむキテル…したくて讀むだけでもいいから! いいから!百合ではないけどこいつはやべーぞ! 今作はショタではないがそつちの方でもやべーもの見せられた。
ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

ひつじがいっぴき 1 (ハルタコミックス)

やべーぞ! 『ロッタレイン』はまだ一巻しか讀めてゐないがそれは三巻が賣つてをらずまだ二巻までしか買つてないからで三巻入手できたら一氣に讀みたいと思つてゐるんだがでも一巻讀んだだけでも松本先生の映像美を味はふことができる。さう、風土や天氣、時間などかなり映像を意識して練り、つくられてゐるんだと思ふ。筋立ては通俗的などろどろのメロドラマらしいがふたりの關係の危ふさ、そして少女の美しい危ふさが迫つてきてやべーぞ! と叫びたくなつてくる。筋だけ見るとウッと敬遠したくなるかもしれないがとにかく危なく美しいものに触りたかつたらお薦めの作品だと思ふ。しかし、題材故に映像化はできないよねこれ……。でももしされたら何もかもがつかりすると思ふから全三巻以上何もなくていいんだが。ですね絶對!