くわうほう

使ひます

平成二十七年に讀んだベスト本

去年のベストはこれ。

今年は(も)全然讀めなかつた……! 見たら去年も同じこと言つてる……! うんこすぎる!

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

さすが田中ロミオ! 風采の上がらぬ男のデリケートな部分を刺戟させたらピカ一だと思ふ。もちろん俺も現状全く他人事ではないので……その……。面白かつたです!

ラノベ出身らしいキャラ造形、讀みやすさはその儘にして、大膽な設問を鮮やかに、フェアに解決する手腕が合さつて大變良い讀後感を味はひました。

あとは無理に紹介しなくていいかな……

漫畫について、今年は四コマ漫畫をたくさん讀んだ。叮嚀に家族の喪失以降を描く小池定路『父とヒゲゴリラと私』もじんわりと良かつたし、

kahaii! しか感想が浮かばない『シンデレラガールズ劇場』も氣味の惡い笑顔になりつつ讀んだ。

四コマ漫畫とストーリー漫畫のコマ割りを組み合せて用いて少女たちの青春の躍動を描いた三ツ沢大介『すみっこプリマ U-15』はもつと讀まれるべき作品だと思ふ。小池定路『ゴーゴーダイナマイツ』も併せてぜひ。

すみっこプリマ U-15 2 (リュウコミックス)

すみっこプリマ U-15 2 (リュウコミックス)

器械『スクール・アーキテクト』はマジか、と思ふくらゐ、なかなか消化できない、ぶつとんだ作品だつた。

その中でも佳作なのにマイナーすぎて泣ける長田佳奈『2KZ』! ディテールの確かさともう安心のできる登場人物(男女とも)の可愛らしさ、どれをとつても、いい……。萬人に向けられた普遍作だと思ふのにこの現状なんなの。今知つた。完結したんだつて……。最終巻(二巻)、出ないんだつて……。

2KZ (ぶんか社コミックス)

2KZ (ぶんか社コミックス)

こつちは最終巻まで出るやつ。クマノイ『リメインズ・JC』。掲載誌(『まんがタイムきららミラク』)は讀んでゐないが、完と書かれてゐるから終つたのだらう。何が起つたか分らないが起つてしまつた終末後の世界を少女たちが少女たちのみで生きる。全く生易しくない状況をコミカルにだが慈悲もなく、智慧と友情で生き抜かんとする貪欲さがいいんですよね……。十四歳の少女三人と十三歳の少女一人。描線が大變安定してをりすごく好みな繪。いやーいい……マジでいい……。これに比べるとつくみず『少女終末旅行』は切實さが薄く、もうちよつと枯れてゐる風。まあどつちも好きなんですけどね!

リメインズ・JC (1) (まんがタイムKRコミックス)

リメインズ・JC (1) (まんがタイムKRコミックス)

少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 2 (BUNCH COMICS)

四コマ漫畫を離れるが、あと荒涼とした世界を描いて素晴らしかつたのは明治カナ子『一変世界』ですね絶對! ファンタジーの不氣味さ薄氣味惡さとそれを當たり前のものとして生きてゐる、生活してゐる逞しき人たち。一寸先は闇、だが惡いことばかりではない。まだ序章と言ふところなのでどのやうに展開して行くのか非常に樂しみでならない。

一変世界 1 (BUNCH COMICS)

一変世界 1 (BUNCH COMICS)

元はBL漫畫家なんだよなあ明治カナ子も。BL作品の『坂の上の魔法使い』は是非讀みたいが、今年はそんなBL出身の作家の一般作が目立つたやうに見える。

たなと『あちらこちらぼくら』のなんともフェティッシュな高校生の描き方はさすがBL出身、と思はせるが、そんな描線の流麗さと、ちよいヤンでイケイケ男子とダサ目男子の凸凹コンビのふっとした切缺から始まる、なかなか始まらない友情にはそつちの氣のない俺でもときめいてしまつてちよつと危ない!!

あちらこちらぼくら (ビッグコミックススペシャル)

あちらこちらぼくら (ビッグコミックススペシャル)

トーテムポール『或るアホウの一生』は将棋といふ舞台でただ勝つために生き抜くためにアホウを貫く若者の姿を描く群像劇が好印象。こつちはたなと作品と掲載誌が同じ(『ヒバナ』)でよりだいぶ一般寄りだけどやはりBL出身。

或るアホウの一生 1 (ビッグコミックス)

或るアホウの一生 1 (ビッグコミックス)

岡田屋鉄蔵『口入屋兇次』。繪がとにかく上手い! 話がとにかく叮嚀! 物語の展開の仕方が時代物のエンターテイメントとして抜群なんだが、もう一つの一般作の『無尽』の方になるとちよつと説明にくどさを感じる、いやこつちも平均以上の出來なんだけどね。で、この先生もBLの人。

口入屋兇次 1 (ヤングジャンプコミックス)

口入屋兇次 1 (ヤングジャンプコミックス)

MUJIN -無尽- 1巻 (ヤングキングコミックス)

MUJIN -無尽- 1巻 (ヤングキングコミックス)

まあ漫畫はこんな感じ。エロ出身と言ふことでは縁山先生の『だいだいめる子』も先生のネームの面白さがエロなしで存分に樂しめる一作なんで見逃せないと思ひますね絶對! あとkahaii!!

だいたいめる子 (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)

だいたいめる子 (WANIMAGAZINE COMICS SPECIAL)